2023.06.03 05:53販売開始後やHPにアップした後は、意匠登録できない!?商品のデザインに関係して、実際に商品を販売し始めた後に、デザインの評判が良いので、意匠登録出願をしたいというニーズが、本当に多くあります。これは、商品デザインのビジネスの特徴だと思います。ところが、意匠法の原則では、商品を販売した後(通販サイトでのアップを含む)や、商品の写真をHPにアップしたり、商品デザインを公開してしまった後は、その行為を行ったのが自分(自社)自身でも、意匠登録はできません。いわゆる、新規性を喪失してしまった状態になったからです。ただ、それでは、創作者に酷なので、救済策として、「新規性喪失の例外」制度が用意されています。 自らが公開した日から1年以内に、所定の手続きを伴った意匠登録出願を行い、且つ、その意匠登録出願の日から30日以内...
2023.04.26 03:31マネしなければ許される?「特許や商標は、たとえ同じや似たものでも、本物をマネしていなければOKですよね?」 そんな言葉を、頻繁に聞きます。「それでもアウトです!」と言い切ると、大体、言った弁理士は嫌われます。 弁理士の発言が、法律に基づく説明であっても、「どうあれ自分を守ってくれるのが弁護士や弁理士だ!」という想いが根底にあるのだと思いますが・・・でも、ダメなものはダメです。特許法第103条に、下記の定めがあります(実用新案法、意匠法、商標法にも同様の定めがあります。)。「他人の特許権又は専用実施権を侵害し た者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定 する。」難しい表現ですが、つまり、マネの有無にかかわらずダメという意味で、「マネていなければOK」という論...
2023.04.21 00:11実用新案って、価値がない?「実用新案は、国の審査が無いから価値がない!」、という人は、正直多いと思います。確かに、独占権によって他人を排除することを目的とするのであれば、実用新案に対する一般的な見方だと、私も思います。しかし、そもそも産業財産権制度の中の特許・実案・意匠)の最大の目的は、他者の排除ではありません。他者を排除することは、法の目的からすると、消極的な効果でしかありません。ちなみに、実用新案法の第1条の目的には 「この法律は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案の保護及び利用を図ることにより、その考案を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」 と記されています。これこそが、正に、実用新案権の存在目的なのです。特に、コロナ禍で企業の商品開発に対する意欲にブ...
2023.04.17 00:57放置(無関心)は危険な建築物の意匠登録 2020年4月から、意匠法が改正され、建築物や内装の意匠登録が可能になりました。 ただ、大手メーカーさんは、着実に意匠権による保護を進めているようですが、建築業界として、必ずしも浸透しているとは言えないと私は思っています。「昔からありふれた建築デザインが、意匠登録されるわけないんでしょ?! だから関係ないよ!」 そんな言葉を多く聞きます。 つまり、建設業界の人が思っている「昔からありふれた建築デザイン」と意匠登録出願における新規性や創作容易性には、根本的な違いがあると思います。 その一方で、信頼性の高い建築物を建てようと思った場合、過去に実績のある構造やデザインを採用することでリスクを軽減している側面が、建設業界にはある...
2023.04.11 12:45特許事務所の事務所報酬の違い(商標編)「そちらの事務所の商標の出願の費用は、どうして高いのですか?」 最近、かつてインターネットを介して廉価な特許事務所に依頼して商標登録を得た会社さんからの相談が、増えています。 取引先から、「販売する商品やサービスが、すでに持って居る商標権の範囲には、入っていませんよ!」と言われ、慌てて、当方のような地元の特許事務所に連絡をされてくるようです。 特に、私の事務所にお電話をされる方は、ホームページで最寄りの特許事務所を探していると事務所の名称に「商標」と入っていた、と言われます。とはいえ、私の事務所のホームページに掲載されている料金表を見て、びっくりされるようです。 特許事務所の料金は、基本的には、仕事量(作業時間)に応じて定められているます。 ...
2023.03.07 05:13ノーベル賞と特許過去に、日本人ノーベル賞受賞者の特許権の金銭的評価について、今も昔も、いろいろと争いがあるのが現実です。ノーベル賞を取得できる人が創作した特許は、莫大な富の源泉だということは、言うまでもないかとは思いますが。とはいえ、外国人のノーベル賞受賞者の方が発明者になって、日本で権利が取得されているケースも多々あり、受賞者の特許の様子を、特許庁が公開しています。図面が手書きであったり、理化学系ではない方の特許であったり、なかなか面白いです。【特許庁HP】ノーベル賞と特許について