2023.06.06 04:50製造していなくても販売したら侵害?「他社が特許権を持っている商品を販売したいのですが、権利者以外の他社が海外で製造したものを仕入れて(輸入して)販売したいのですが、自社で製造していないから、特許権の侵害にはなりませんよね!?」 このような相談も、結構多いです。例えば、中国の国内で、実際に販売されている商品が目にとまって日本で販売できれば、という経緯なのではないでしょうか。 このようなケースの場合、中国では特許権は取得されていないものの、日本では他社の特許権が存在する、という状況なのかと思います。日本の特許法(内容的には、実用新案法や意匠法でもほぼ同じなのですが)では、侵害行為を「実施」ということで、「実施」の具体的な内容を定義しています。特許法第2条第3項 この法律で発明について「実...
2023.06.03 05:53販売開始後やHPにアップした後は、意匠登録できない!?商品のデザインに関係して、実際に商品を販売し始めた後に、デザインの評判が良いので、意匠登録出願をしたいというニーズが、本当に多くあります。これは、商品デザインのビジネスの特徴だと思います。ところが、意匠法の原則では、商品を販売した後(通販サイトでのアップを含む)や、商品の写真をHPにアップしたり、商品デザインを公開してしまった後は、その行為を行ったのが自分(自社)自身でも、意匠登録はできません。いわゆる、新規性を喪失してしまった状態になったからです。ただ、それでは、創作者に酷なので、救済策として、「新規性喪失の例外」制度が用意されています。 自らが公開した日から1年以内に、所定の手続きを伴った意匠登録出願を行い、且つ、その意匠登録出願の日から30日以内...
2023.04.17 00:57放置(無関心)は危険な建築物の意匠登録 2020年4月から、意匠法が改正され、建築物や内装の意匠登録が可能になりました。 ただ、大手メーカーさんは、着実に意匠権による保護を進めているようですが、建築業界として、必ずしも浸透しているとは言えないと私は思っています。「昔からありふれた建築デザインが、意匠登録されるわけないんでしょ?! だから関係ないよ!」 そんな言葉を多く聞きます。 つまり、建設業界の人が思っている「昔からありふれた建築デザイン」と意匠登録出願における新規性や創作容易性には、根本的な違いがあると思います。 その一方で、信頼性の高い建築物を建てようと思った場合、過去に実績のある構造やデザインを採用することでリスクを軽減している側面が、建設業界にはある...
2023.03.07 05:13ノーベル賞と特許過去に、日本人ノーベル賞受賞者の特許権の金銭的評価について、今も昔も、いろいろと争いがあるのが現実です。ノーベル賞を取得できる人が創作した特許は、莫大な富の源泉だということは、言うまでもないかとは思いますが。とはいえ、外国人のノーベル賞受賞者の方が発明者になって、日本で権利が取得されているケースも多々あり、受賞者の特許の様子を、特許庁が公開しています。図面が手書きであったり、理化学系ではない方の特許であったり、なかなか面白いです。【特許庁HP】ノーベル賞と特許について